「ギバー」や「テイカー」という言葉はすでに市民権を得ているように思います。
今回は、この「ギバー」や「テイカー」が市民権を得るのに一役買ったと思われる書籍を紹介したいと思います。
著者 | アダム・グラント |
発行年月日 | 2014年1月25日 |
出版社 | 三笠書房 |
すみれ的おすすめ度 ★★★★☆
ざっくりとした内容
ギブ・アンド・テイクの関係を考えたときに、相互関係には次の3つの関係がある。
・テイカー(受けとる人)
ギブ・アンド・テイクの関係を自分の有利になるようにもっていき、相手の必要性よりも自分の利益を優先する人。テイカーは自己を中心に考える。
・ギバー(与える人)
ギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受け取る以上に与えようとする人。親密な人間関係ではたいていの人がギバーとして振る舞う。
・マッチャー(バランスをとる人)
与えることと受け取ることのバランスをとろうとする人。
ギバーが成功する場合は、その成功が周りの人に波及するという特有の現象が起こることが分かっている。
成功者のギバーは、四つの重要な分野で独自のコミュニケーション方を用いる。
- 人脈づくり……思いやりをもって相手に質問をし、辛抱強く話を聞くことを目指す。気前よく自分の時間や専門知識を分け与え、自分のネットワークの人々に「恩送り(pay forward)」を当たり前にするように背中を押す。
- 協力……頼りあうことが強さの源であるとし、多くの人々のスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考える。ギバーとして信用を得ると、大胆で挑戦的なアイデアを出しても周りから特別に認められる。
- 人に対する評価……どの人も才能ある人間であり、その人の一番よいところを引き出そうとする。自分のプライドや評判がどうなろうとも、長い目で見てよりよい選択ができる。また、自分の信念が脅かされようと、他人の専門知識を柔軟に受け入れられる。
- 影響力……ギバーは弱点を隠さず、控えめな言葉を使って人のアドバイスを喜んで受け入れる「ゆるいコミュニケーション」をする。
ギバーが成功しやすくするためには、「自己犠牲的なギバー」ではなく、「他者志向のギバー」であるようにしなければならない。他者の利益と自己の利益の両立を目指すようにすることで、成功に近づくことができる。
ギバーはいいように使われてしまうので気をつけなければならない。テイカーに利用されないようにするためには、相手がテイカーであるかどうかを見極めて、マッチャーになればいい。
読んでみてどう思ったか
この本を読んでから、「ああ、この人はマッチャーだからこういうコミュニケーションを取るんだな」、とか、「この人のこの行動はテイカーかもしれない」と考えるようになりました。
本の主張としては、これからの時代はギバーが成功するので、みんなギバーになろう! というものなのですが、テイカーやマッチャーの考え方も対比して具体的に書かれており、自分の身の回りで誰がどうなのか、判断しやすいです。
本書の最後の章で書かれているとおり、テイカーでもギバーになる余地はあります。人は変化するものですし、3つに分けてステレオタイプで見るというのも問題がありそうなので、そこは気を付けようと思います。
ただ、私は3つの中ではギバー寄りの人間なので、「自己犠牲的なギバー」だと成功できないことや、テイカーにいいようにされないためにはマッチャーになった方がいいということを知ることができ、実践していきたいと思いました。
特にどんな方におすすめか
- 基本的に相手を信じようとする方
- 自分を犠牲にしてでも相手を助けようとする方
- いつも自分ばかり損していると思う方
- ギバー、テイカーという言葉をよく聞くので内容を知りたい方
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