本を執筆する以上、いつか本そのものをテーマにした本を書いてみたいという作家さんは多いかもしれません。
私も本好きを自認している身として、本がテーマになっている本(本の本)を集めています。
「本についての本」といっても、ビジネス書や小説、学術書など色々な種類があります。
今回は、本がテーマになっている小説のうち、オススメを3つ(古本屋、学校と書店、印刷会社のお話)を紹介します。
もっと本が好きになっちゃうね。
ビブリオミステリの最高峰―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』
剛力彩芽さんや黒木華さん主演でドラマ化や映画化されておりご存知の方は多いかもしれません。
もし原作を読んだことがない方はビブリア古書堂シリーズ、ぜひ読んでいただきたいです。第一シリーズは7巻までで、第二シリーズが2巻まで出ています。
鎌倉にある古本屋の店主で超絶美人だけどシャイな性格、でも膨大な知識を持つ本のことになると途端に饒舌になる栞子さんと、ある出来事がきっかけで本を読めなくなったアルバイト大輔の物語です。
殺人事件は起こりませんが、本にまつわる謎解き要素がある「ビブリオミステリ」。恋愛要素もありタッチは軽快で読みやすいですが、伏線回収が美しくて本格的なミステリです。
本好きでこの本を嫌いな人は一人もいないんじゃないかと思うほど、本好きのツボを押しまくってくれる本です。「本好きあるある」が随所に散りばめられているので、面白いと思った方は自他ともに認める本好きでしょう。
実在する本にまつわる謎解きをするミステリですので、そこで出てきた本をさらに読んでみるという楽しみ方もあります。紹介されている本から厳選して1冊の本にしたセレクトブックも2巻まで出ています。
手塚治虫の『ブラック・ジャック』から選りすぐったセレクトブックもあります。三上さんの解説と共に楽しめますので、『ブラック・ジャック』は全巻持っていますが買ってしまいました。
本のある日常は希望に満ちている―大崎梢『だいじな本のみつけかた』
続いては、中学校や書店が舞台のお話です。
著者は元書店員ということで、本屋がリアルに描かれます。もともとは、中学生向けの雑誌で連載された小説ですが、大人でも楽しめる小説なので、子どもと一緒ん楽しむことができます。
ストーリーは、本が大好きな中学生である野々香が放課後、廊下の手洗い場で一冊の本を見つけるところからはじまります。
忘れ物かな? と思ってよく行く地元のゆめみ書店のカバーを外してみたら、それはまだ発売されていないはずの作家の新刊で…?
「もともと本好きな人って好奇心が強いのよ」というセリフが出て来ますが、野々香はどんな問題にぶつかっても、仲間と一緒にアイデアで乗り越え、成長していく姿に胸を打たれます。
柔らかくてほっこりする本で、本のある日常とは、こうも希望に満ちているのかとさわやかな気持ちになれる本です。
勉強やお仕事でお疲れの方におすすめです。
仕事に全力を尽くす男たちのドラマ―安藤祐介『本のエンドロール』
最後は、本を印刷する会社のお話です。
電子書籍の台頭で、紙の本が減って来て、印刷会社も苦しい。でも、その苦しい局面をなんとか乗り越えようとする印刷会社の営業と、工場の職人さんたちの物語です。
この本を読むと、印刷会社と出版社との関係を通して、どのように本ができあがっていくかの一端に触れることができます。
最初は、主人公とコミュニケーションがうまく取れない個性的な人がいっぱい出てきて、それぞれに悩みを抱えていて、色んな歯車がうまく噛み合わなさすぎて、大丈夫かなぁと心配になります。
でも諦めずに最後まで読んでください。読んだあとに、世界―「本のエンドロール」―の見え方が変わっています。
読んだことがなく、おもしろそうだなと思った本はありましたか?
皆さんによき本との出会いがありますように。
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