特に資格も持っていないし、自分には何も専門分野がない……。転職を繰り返してきたけれど、“天職”には一体いつ巡り会えるのだろうか。
そう悩みながら次の転職先を探すビジネスパーソンは少なくないと思います。
ですが、むしろ複数の会社を経験してきたことがあなたの強みになるとしたらどうでしょうか?
この記事では、人生の「まわり道」が知識の幅(レンジ)を生み、成功のカギになるという本書を紹介します。
著者 | デイビッド・エプスタイン |
発行年月日 | 2020年3月 |
出版社 | 日経BPマーケティング |
「まわり道」が成功のカギ
本書では、先行き不透明で将来が予測困難な時代では、ゆっくりと「まわり道」しながら様々な経験をしていくなかで、知識の幅(レンジ)を広げることこそが、最終的な成功のカギであると繰り返し主張されます。
たとえば、プロのスポーツの世界では、幼少期より一つのスポーツを極めて成功を収めたタイガー・ウッズが理想のように語られる。
しかし、ロジャー・フェデラーは幅広いスポーツを経験してからテニスに取り組むことを決め、遅咲きの選手として長い間活躍しました。
実はスポーツの世界では、フェデラーのように、様々なスポーツを経験してから専門分野を決める選手の方が一般的なのだといいます。
そして、これはスポーツの世界だけの話ではなく、ビジネスの世界でも同じことがいえます。
長年、ある分野で解決されてこなかった難問を、遠く離れた分野の専門家が解決するということが実際に確認されています。
イノセンティブ社では、あらゆる分野の企業が、「シーカー(探索者)」として「チャレンジ(問題)」をウェブサイトに掲載して、「ソルバー(解決者)」が解決にあたるという仕組みを作っています。
遠く離れた分野であればあるほど、その問題を別の角度から捉えなおすことができるし、なんならすでに別の分野では同じような問題を解決していることもあって、解決できる確率が高まります。
人生では、専門分野を絞りすぎずにゆっくりと、色々な経験を積みながら寄り道をして進んでいく方が、最後には成功するし、豊かな人生を送ることができるのです。
転職回数の多さを武器に
日本では、転職回数が多いと就職時に不利とみなされることがまだまだ多いです。
かくいう私も、履歴書を作ると書ききれないぐらいの職歴になってきていて、「見栄えが悪いなぁ……。」と落ち込むことがありますし、それを理由に面接で落とされたことも実際にありました。
長年企業で働き続ける人も必要。ですが、色んな業種業界で経験を積んできた人もまた企業にとっては必要ではないかと思うようになりました。
そういう多様性のある企業が、今後は生き残っていくのではないかと思います。
イノセンティブ社の例のように、知識の幅(レンジ)のある人がその企業で問題となっていることの「解決者」になれる可能性が高いとすると、そういった人を意識的に採用していくと言う戦略もアリなのではないでしょうか。
また、副業の推進が、知識の幅(レンジ)を広げることにもつながりそうです。
そして、転職経験が多い人は、いろいろな経験をしていくなかで、最後には“天職”に巡り合える時がいつかやってくるでしょう。
今の時代は、様々な経験を積んでいるということはむしろ武器になる。そう思って人生をより豊かに過ごしていきたいですね。
こんな人に読んでほしい
- 色々な業界を経験してきて、それでいいのか悩んでいる人
- 専門特化して視野が狭くなってきたと感じている人
- 好奇心旺盛で色んなものに手を出すタイプの人
- 人生のまわり道をしているなと感じている人
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